データクックブック: 農業モニタリング
GRUS-1 衛星画像の活用して作物の生育状況をモニタリングする方法をご紹介します |
AxelGlobe から衛星画像をダウンロードします。詳しくはAxelGlobe ユーザーマニュアルをご参照ください。
1A. 今回は、題材としてDemo Brazil のデータを使用します。MAR 10(3/10), MAY 11(5/11), AUG 6(8/6) に撮影された画像に対してそれぞれ4つのセル (セル ID: S21056450, S21056451, S21066450, S21066451) を選択していますので、合計で12 タイルが選択されています。この状態でデータをダウンロードします。 ダウンロードのときは、マルチスペクトル画像製品 を選択してください。 |
データの結合・切り抜き方については、GRUS-1衛星データ利用基本マニュアルをご参照ください
2A. データの管理・解析を簡潔にするため、同日の4つのタイルをGISソフトウェアを利用して結合します。その結果、以下の3つの画像が得られます:2020/3/10, 2020/5/11, 2020/8/6 の各日ごとに1つの画像とします。 |
注:QGISでの画像のレンダリング初期設定は、赤:バンド1、緑:バンド2、青:バンド3となっているため不自然な色合いとして表現されます。次のセクションで目的に合わせたレンダリング設定方法についてご紹介します。 |
トゥルーカラー・フォールスカラーでの表示方法については、GRUS-1衛星データ利用基本マニュアルをご参照ください。
3A.トゥルーカラー表示: “ナチュラルカラー” と呼ばれることもあります。赤・緑・青の可視光の波長から成っており、人間の視覚で感じることができる像に近い表示方法です。GRUS-1 マルチスペクトル画像製品 |
3B. フォールスカラー表示:トゥルーカラーに比べフォールスカラーでは、別の波長の組み合わせ(レッドエッジまたはNIR=近赤外)トゥルーカラーでの赤・緑・青では視認できない色の違いを見ることができます。特に植生域が赤く強調される特徴があるため農業モニタリングには適した表示方法です。以下のフォールスカラーの画像は、バンド5(近赤外)が赤、バンド3(赤)が緑 、バンド2(緑)が青に割り当てられて表示されています。 |
トゥルーカラー・フォールスカラー表示をするためのQGISでの各バンドの表示設定は以下になります。 |
衛星画像から算出した植生指数を利用して作物の成長や健康状態のモニタリング・管理に役立てます
4A. 植生指数 一般に植生指数(Vegetation Index :VI)は、光合成がどれだけ活発に行われているかを示す指数、つまり植物の成長や健康と関連づけることができます。 大まかに数値が大きければ健康で、小さければ健康ではない状態に対応づけられます。このクックブックでは、よく用いられる2つの植生指数、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index )、NDRE(Normalized Difference Red Edge Index)を使用します。 |
4B. ラスタ計算 NDVIとNDREを算出するために、QGISの機能の一つであるラスタ計算機 を使用します。 ラスタ計算機を使用するには、「ラスタ」メニューから「ラスタ計算機」をクリックします。 |
ラスタ計算機では、計算で直接指定できるように各画像(=ラスタ)の各バンドが自動的に分けられています。 |
4C. NDVI の算出 NDVIを算出するためには、近赤外:NIR(バンド5)と赤(バンド3)を使用します。NDVIの計算式は (バンド5 – バンド3)/(バンド5 + バンド3) となります。 バンドを選ぶとき同じ日付のデータを選ぶように注意します。これを3つのデータセットすべてに行います。 |
ラスター計算機でのNDVI計算式の設定は以下の図の通りです。 |
4D.NDRE の算出 NDREを算出するためには、近赤外:NIR(バンド5)とレッドエッジ(バンド4)を使用します。NDREの計算式は (バンド5 – バンド4)/(バンド5 + バンド4)となります。 これを3つのデータセットすべてに行います。
ラスター計算機でのNDRE計算式の設定は以下の図の通りです。 |
4E. 可視化 レイヤを右クリックし、プロパティを選択、シンボロジを選択します。レンダリングタイプで「単バンド疑似カラー」 を選択します。カラーランプでは、▼ボタンから選択肢を見ることができます。今回は、Spectral を選択・反転します。分類ボタン、適用ボタンを順にクリックし、反映させます。OKをクリックしてシンボロジツールを閉じます。 |
最終的なシンボロジ設定は以下のようになります。 |
4F. 異なる時間での比較 異なる時間のデータを比較するために、NDVI及びNDRE の表示のスケールを揃えます。下の例では、NDVIの表示を最小 -0.27 から最大0.79 として各NDVIの範囲を指定しています。 |
下の例では、NDREの表示を最小 -0.25 から最大0.53 として各NDREの範囲を指定しています。 |
以下にNDVIとNDREが異なる日でどのように見えるか比較しています。NDVIは作物の成長段階の早い段階での健康状態を表す植生指数としてはよく用いられます。一方NDREは、成長の後期において健康状態を示す指標として利用されます。 これらの値の解釈としては、NDVIまたはNDREの値が大きいほど、その地域での成長段階ではより健康にあるいはより頑強に作物が育っているといえます。 |
4G. ゾーン統計量 農地を総合的にモニタリングするために、農地区画ごとの植生指数を分析することもできます。このステップで使用するデータは、GRUS-1衛星データ利用基本マニュアルのデータハンドリングで作成したものです。時間の経過と、ある時点での農地区画ごとの植生指数の平均値を得ることによって、効率的なモニタリングと作物の生育段階、健康状態の追跡に役立てることができます。 |
(a) シングルプロセスでの実行方法 処理対象のデータセット数が少ない場合に適した実行方法です。 ゾーン統計量を算出するには、プロセシングツールボックスからラスタ解析、ゾーン統計量を順に選択します。もし、プロセシングツールボックスが表示されていなければ、Ctrl +Alt +T を同時に押してプロセシングツールボックスを開いてください。 |
ラスタレイヤには、平均を計算したい植生指数が含まれているレイヤを指定します。ベクタレイヤには、平均計算したい農地区画の境界が含まれているファイルを指定します。ゾーン統計量ツールは平均以外の統計量も計算可能です。 今回は農地区画ごとの平均を得たいので、選択肢の中から平均だけを選択します。出力するカラム名の接頭辞を指定することで、その文字列と選択した統計量名を繋げた文字列を出力される統計量の属性名として指定することができます。以下ではわかりやすいように使用したラスタ名がわかるような接頭辞にしています。 全てのパラメータを設定後、「実行」ボタンをクリックし、処理を実行します。 |
(b) バッチ処理を行う場合 もし複数の画像に対して一度に処理を行いたい場合は、バッチプロセスツールを用いるのが効率的です。ゾーン統計量のウィンドウから、バッチプロセスで実行をクリックしてバッチ処理ウィンドウを開いてください。 |
ラスタレイヤ のカラムでは、省略記号(…)をクリックして平均の計算のバッチ処理を行う植生指数が含まれているデータをすべて選択します。選択後「OK」をクリックすると、選択したレイヤが同じカラムに現れます。 |
分析ゾーンのベクタレイヤ のカラムでは、省略記号(…)をクリックし、レイヤを開くから選択を選び、平均を計算するゾーンとして使用されるシェイプファイルを選択します。この例では、Test_Parcel と名付けられたレイヤです。すべてのデータに対て同じ レイヤで平均を計算するため、Autofill をクリックしてすべてのデータに対して同一のレイヤを指定します。 注:もし使用するシェイプファイルをQGISにインポートしていない場合は、ファイル選択を選んでください。 |
(出力するカラム名の接頭辞 のカラムでは、それぞれのラスタレイヤに対応する名前を入力します。計算する統計量 のカラムでは、省略記号(…)をクリックし平均 を選択、OKをクリックした後 Autofill を行います。 |
最終的にバッチ処理を行うパラメータは以下のようになります。 |
(c) 結果 算出したゾーン統計量(平均)を確認するには、ベクタレイヤとして使用した Test_Parcel を右クリックし属性テーブルを開くをクリックします。ここで、ゾーン統計量ツールで計算した結果のすべてを確認することができます。このテーブルのカラムは各ラスタレイヤから計算した統計量で、1つの行が1つの農地区画を表しています。 |
(d) 可視化 各農地区画のNDVI平均値を見えるようにするためには、ベクタレイヤTest_Parcel を右クリックし、プロパティを選択s8、 シンボロジ タブに進みます。ここで 連続値 による定義(graduated)を選び、値 には表示させたい平均の値を選びます。この例では 0310_NDVI を選んでいます。カラーランプを選択し、分類 をクリックしてから、OKボタンをクリックします。 |
以下に最終的なシンボロジ設定と出力を示します。 |
Last updated: June 2021
Couldn't find the answer you were looking for?
Hit the contact button below and send us your questions and feedback!
Contact us